気ままにゲームレビュー#5 〜悲しき男達の、運命は何処へ〜
清廉潔白なオッサンより、ダーティでアウトローなオッサンに心惹かれる。そんな日もあるだろう。
そんな人々にギリギリお勧めできる作品がこれ。
アイドス、スパイク発売の、KANE & LYNCH-DEAD MEN-(ケイン&リンチ デッドメン)。
この作品は、自分が初めて非の打ち所がないクソゲーとして認定した、記念すべき一本だ。
それでは早速、ゲーム性とストーリー性に分けてレビューしていこうと思う。
〜ゲーム性〜
ps3初期の作品ということもあって、グラフィックはあまり宜しくない。それはいい。問題なのは判定がガバガバな照準である。
お前どこ飛んでんだよ!!みたいなことが多々ある。敵も無駄に固いので、相乗効果でイライラする。
これで当たらないってどゆこと?
キャラクターの挙動もおかしい。移動時は上半身ほぼ固定で腕だけブンブンしている。ダッシュ時はその症状がさらに顕著になる。
こういう腕振り人形でよく遊んでた。
このゲームで一番不満に思ったのが、”MAPがない”ことだ。いや、正確にはある。あるにはあるが、表示されるのは自キャラと仲間キャラのアイコンと、目的地のアイコンのみだ。敵キャラどころか地形すら表示されない。極め付けに、常時表示されないという使いづらさだ。暗いステージが多いことも相まって、非常にイライラした。
このゲームでは、NPC(ノンプレイヤーキャラ)を重要視するシステムが搭載されている。
集結、攻撃、指定した場所へ移動、武器の譲渡など、バリエーションは割と揃っている。
が、AIがアホ。「撃て」と指示した敵兵は撃たないし、気づけばどこか遠くの方へ消えている。
しかもNPCが死ぬと自動的にゲームオーバーなので、どこで死にかけてるかも分からない仲間を、助けに行かなければならないというストレスまでついてくる。
プレイヤーキャラが力尽きそうな時に助けてくれるのもNPCなのだが、敵との銃撃戦に夢中で気づかれず、そのまま死んでいった場面もあった。
正直、「ここがよかった!」と手放しで褒められる部分が無いのが実情なのだが、このゲームをプレイしていて一つ、とても面白かった箇所がある。これだ。
『日本』ステージで見つけた張り紙。多分というか、絶対間違っている。
〜ストーリー性〜
ゲーム性はイマイチを極めているが、ストーリー性は結構いい。
主人公は死刑執行直前の犯罪者。昔身を寄せていた裏傭兵組織に連れ去られ、妻と娘を人質にまた犯罪を強要させられる、というストーリー。
おっさんだらけの渋い顔ぶれと、声優陣の好演によって、かなり骨太な内容に仕上がっている。
画面左の男が相棒キャラのリンチ。時々精神が不安定になって暴走するという厄介者だが、こいつと挫折を経て関係を深めていく展開は結構熱い。
ただ今作のストーリー、骨太すぎてめちゃくちゃダークな内容になっている。
主人公は妻と娘を助けるために奔走しているのに、その二人からは蔑まれ罵られる始末。
ゲームのクソっぷりに耐えてきたプレイヤーにこの仕打ち。泣いていいですか?
そんな境遇にも耐えながら15にも及ぶチャプターを生き延びても、最後に待っているのは究極の二択。
ここでなんとストーリー分岐が発生するという力の入りようだが、どっちを選んでもハッピーエンドはない。
一応物語自体は完結するのだが、とても純粋に前を向ける代物ではなかった。
それでもそのビターな後味が作品の雰囲気に更なる味を足しているので、寧ろ良かったのかもしれない。
〜まとめ〜
グランドセフトオートのような雰囲気を期待して買ったら、それ以上にダークかつクソだった今作。
オッサン好きでクソゲーに手を出してみたい猛者にはぴったりのゲーム、かもしれない。
それではまた次回。
Let's party .