気ままにゲームレビュー#15 〜少年たちよ武装せよ!!〜
少年は誰しも(と言えば少々誇大表現かもしれないが)一度は変身ヒーローに憧れるものである。
そんな少年たちの憧れを引っ提げゲーム業界に新たな旋風を巻き起こそうとした意欲作がこちら。
カプコン発売、ガイストクラッシャー。今回はこのゲームをレビューしていく。
〜ゲーム性〜
本作は『ガイメタル』と呼ばれる鉱石から変化した怪物、『ガイスト』と戦うステージ制のアクションゲームだ。
本作のメインターゲットが小さな子供たちであるためか、操作性はとっつきやすい非常にシンプルなものになっている。
ボタン同時押しやコンボ技といった複雑な操作はなく、全ての技がボタン単推しか長押しのみで手軽に出せるので、誰でもすぐに慣れることができるだろう。
またどのアクションもド派手なエフェクトや効果音を採用しているため、かなりの見応えがある。
ド派手な攻撃で敵を一掃。気分爽快だ。
今作は収集要素も取り入れており、全100種の『ガイストギア』と呼ばれる鎧を集めるのもこのゲームの楽しみ方の一つだ。
ガイストギアには三つの形態がそれぞれ用意されており、
攻撃と防御のバランスに優れた『メイルフォーム』。
防御を捨て攻撃に特化した『ウェポンフォーム』。
ガイストそのものへと変化する『EXフォーム』。
とどれも特徴的な仕上がりになっている。
序盤こそゴリ押しで進んでいくことができるが、中盤〜後半ではこの三つのフォームを使い分けなければ決してクリアすることはできないゲームバランスになっているので、この『フォームチェンジ』は作中でも重要な要素と言って間違いないだろう。
ガイストギアの入手法は全部で三種類。
ストーリーを進めることによる自動入手と、エリア奥にいる巨大なボスガイストを指定された条件で倒すことで発生する『クラッシュチャンス』、
そしてバンダイから発売されている玩具版ガイメタルとの連動である。
特に『クラッシュチャンス』は、成功させて初めてそのステージが「完全クリア」判定になるので、積極的に達成していこうと思わせてくれるいいシステムだ。
巨大な鉱石の塊をただひたすらぶん殴り制限時間内に破壊するクラッシュチャンス。日々の鬱憤をぶつけろ。
このゲームの一番の良さは、恐ろしいほど快適なテンポ感だ。1ステージの長さが程よく短いため、サクサク進める上にふとした時に「とりあえずやるか」と思わせる手軽さまである。しかもやると普通に面白いので、気づいたら「あれ?めちゃくちゃやってね?」となっているのだから恐ろしい。「俺暇すぎね?」と思わせてくるのも恐ろしい。
一方でこのゲームにも難ありなところはある。
それが、『技のカスタマイズ』についてだ。
このゲームには四人のプレイヤーキャラがいるのだが、各キャラそれぞれが様々な技を持っており、その中から三つを選んで X、Y、Aボタンに割り当てて使うことができる。
....ところでみなさん、『インヴォルブ』って、どんな技か分かりますか?『ヴァルカンザッパー』は?
『ヘルペネトレイト』って?これだけ言われてもさっぱり分からないですよね?
しかしてこのゲーム、技の説明がテキストで一切表示されないのだ。
カスタマイズ画面はずっとこんな感じ。分からんし、多すぎるからよりこんがらがる。
技の内容を知るには実際に動かすしかないので、使ってみて使えない技だったらステージを最初からやり直して組み直すしかない。
しかも技はゲームを進めていく毎にどんどん増えていくので、とてもじゃないが全部は覚えきれない。
結果、使い慣れた強い技だけ使うかデフォルトのままいこうという発想に辿り着き、登場する技の大半は死ぬことになった。
これは先程触れた『ガイストギア』にも言えることだが、出てくる数の多さに比べて使おうと思える数があまりにも少なすぎる。それぞれの作りがしっかりしている分、これはかなり惜しい。
〜ストーリー性〜
先に言っておくと、今作はメディアミックス作品だ。
なのでストーリーも漫画、アニメとさまざまなところで展開されているのでそれらを観ればまた評価も変わるだろうと思うが、今回はこのゲーム中で描かれるストーリーのみを見てレビューしていく。
このゲームのストーリーは、とにかく王道を地でいくどこかで聞いたことがありそうな展開のオンパレードだ。
主人公は弁当屋の息子でバカな熱血感。
仲間には優しくて真面目なお兄ちゃんキャラにクールガイ等がいて、少々ワイルドなライバルキャラがいる。
正体不明の敵組織のボス『Ω』。話がテンプレすぎるので、初登場からすぐの段階で誰だか察しがつく。
本当にテンプレすぎて最初から最後までストーリーを予想するのが簡単すぎて逆に面白かった。
一方でストーリーはほぼ全編立ち絵で描かれるので、緊迫感や盛り上がりがほぼ無いのはいただけない。
建物が崩れたり、強大なガイストが立ち塞がったり、「絶対アニメーションで表現した方がいいよ」と思うところでもずっと立ち絵のまんま。
しかも突然アニメーションが始まったと思ったら超短い尺に収まった挙句に画質がちょっと悪いという始末なので「おぉ...」としか言いようがなかった。
展開もなんだかんだワンパターン。
劇中で四人の敵幹部が出てくるのだが、揃いも揃って
超強力なガイストとそれが眠っていた拠点を蘇らせました→ガイストを制御できませんでした→ガイスト倒されました→拠点崩れ出しました→「うわぁぁぁ〜瓦礫の巻き添えにぃ〜」
で終わり。ガラガラ〜「ぐわぁー!!」の雑すぎる演出は一見の価値ありである。
プレイヤーキャラ五人はなんだかんだ好きなので、最後に軽く紹介しておく。
白銀レッカ:主人公。熱血バカの大食い野郎。口癖は「〜盛り!!」ご飯の大盛りとかとかかってる。成長したのかしてないのかよく分からん。
金剛寺ハヤト:真面目な優男。レッカの先輩。お兄ちゃん属性持ち。口癖は「ゴールデンだな」。たまに融通が効かないけど基本いいやつ。一番好きかも。
真銅クラマ:口調が軽い忍者。正直劇中で忍者要素は一切活かされてない。目立った口癖や口調がないため他の奴らと比べるとキャラ薄め。頑張れ。
シレン・クォーツハート:クールな一匹狼っぽいやつ。でも仲間になってからは普通にみんなと海ではしゃいでた。「協奏曲〜」とか「開演だ〜」とかよくコンサートに例えた喋り方をする。こいつの喋り方が一番面白い。
黒曜イズナ:主人公たちと対立するライバルキャラ。後々仲間になる。そしてデレる。ここまでテンプレ。技を出すときに「おれの怒りは派手だぞぉ〜!!」とか言っちゃうやべーやつ。
〜まとめ〜
オリジナルのOPまであって、メディアミックス作品で、全編フルボイスと並々ならぬ気合いだけは伝わってくる本作。中古で100円で買えたりゲーム自体の内容からなんとなく「売れなかったのかな...」と察してしまう(実際売れなかったらしい)。
が、個人的には普通に良作ゲームだと思うので、またなんかの形で復活しても良いかもねと思う。
それではまた次回。
ちなみにタイトルの『武装』は「ガイストオン」と読みます。間違えないでね。