気ままにゲームレビュー#18 〜”愛”か、”死”か。〜

みなさん、浮気ってしたことありますか?もし不可抗力でそんな感じになったら、みんなきっとビクビクしちゃって怖くなりますよね〜。修羅場なんて絶対嫌ですよね。というわけで、そんな皆さんにオススメのゲームがこちら。

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ATLUS発売、キャサリン

今回はこちらをレビューしていきます。

〜ゲーム性〜

今作は修羅場ホラー×パズルというかなり異色めいたタイトルだ。そしてレビューを始める前に言っておきたいのだが、私はホラーとパズルというジャンルが大の苦手だ。そこら辺を憂慮して読んでいただけるとありがたい。

まずパズル要素についてだが、これはかなり面白い。天井へと伸びるブロックでできた塔を登るべく、目の前にあるブロックを前後左右に押したり引いたりして道を作っていくというのが基本システムだ。字面だけみると割と簡単そうに思えるが、実はこれ、めちゃくちゃ難しい

f:id:metalgearlovepotter:20211005142109j:imageブロックを押して足場を作っていく。登れるのは一段分の高さだけ。

主人公が登る塔は、時間が経過するにつれて地形を作っているブロックが下から崩れている設計になっているため、あまり悠長に考えていると落下してゲームオーバーになってしまう。

さらにこのゲームでは"辺と辺がくっつく"というわりと難解なシステムが採用されており、ここら辺のゲームシステムに慣れるまで結構な時間がかかる。始めた頃は「ノーミスで突破してやる」なんて息巻いていたけれど、本当に愚かだったなと今になって思う。

f:id:metalgearlovepotter:20211005142553j:image画面左下を見て欲しい。"辺と辺"がくっついているため、足場からはみ出していても落ちていないブロックがあるのがわかると思う。

このシステムのおかげで階段状の足場を簡単に作れる他、ゲーム攻略に必須となる様々な"業"が生まれているため、プレイしながら凄く感心してしまったのをよく覚えている。さらにこのブロックを動かして登っていくという一連の流れもとてもテンポ感よく演出されているため、やっていて飽きが来ないのが素晴らしい。

ゲームを進めると壊れる足場滑る足場爆発する足場なんかも増えてきてさらに難しくなる。パズルジャンルが苦手な私にとってはとてもハードルが高く、最近やったなかでは一番の疲労感を味わわされたかもしれない。だが面白いからついついやってしまう。それがこのゲームの魅力だ。

f:id:metalgearlovepotter:20211005154251j:image落ちれば"死"あるのみ。死に物狂いで駆け上がれ。

一方で不満点ももちろんある。なかでも特筆すべきはリザルト画面についてだ。ゲームではスコア計測の進行を◯ボタンなどでスキップできる機能がよくあるのだが、このゲームではそれがない。そのためスコアの計測が終わるまでどうしても待たなくてはならなくなるし、マルチエンディングを搭載している本作でこれはどうしても鬱陶しく感じてしまう。

本作はパズルの中でもしっかりとホラー要素を取り入れている。それは追い詰められる恐怖だ。

それが如実に現れているのが各エリアの最後に待ち受けるボス戦で、どのボスもプレイヤーが初見では分かりづらすぎる特殊な技を使ってくる。

f:id:metalgearlovepotter:20211005155011j:imageStage5、暴風の中庭のボス戦風景。何度もリトライさせられ心を折られかけた難関Stageだ。

定期的に聴こえてくるボスの怖すぎる叫び声や、激しい画面の揺れ、苛烈に襲いかかる死のギミックがプレイヤーの精神を追い詰め、疲弊させる。

もう勘弁してくれよと、ずっと思っていました。

〜ストーリー性〜

今作のストーリーはこんな感じ。

32歳のヴィンセント・ブルックスは、5年来の恋人・キャサリン・マクブライドとの関係に頭を悩ませていた。結婚願望があることを仄めかすキャサリンに対し、今はまだ気楽な独身生活を楽しみたいヴィンセントは、彼女にこれといった答えを出すことができず途方に暮れる。その最中、行きつけのバー『ストレイ・シープ』で深酒をあおっていたヴィンセントは、ひょんなことから恋人と同じ名前を持つ謎の美女・キャサリンと出会い、彼女に誘われるまま一夜を共にしてしまう。「酒の勢いとはいえ浮気をしてしまった」と焦るヴィンセントだったが、それ以来ヴィンセントは最近町で噂されている奇妙な悪夢にうなされる日々を送ることとなる。

「落ちる夢を見たとき、すぐに目を覚まさないとそのまま死ぬ」

夢を見るのは女性関係に問題を抱える若い男性だけであり、それを裏付けるかのようにベッドの上で衰弱死した男たちの死体が次々と発見されていく。同時に「悪夢の正体は、浮気癖のある男を恨んだ魔女の呪い」だという噂が流れるようになる。そんな中、恋人・キャサリンから妊娠を申告され、それと同時に浮気相手のキャサリンも大胆にアプローチをしてくるようになり、三角関係と悪夢は続き、ヴィンセントは始終苦悩するようになってしまう。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/キャサリン_(ゲーム) より引用

修羅場ホラーを売り出しているだけあって、なかなかに見事な修羅場を見ることができるのが本作のストーリーの魅力。

まず手放しに褒めたいのが、主人公である『ヴィンセント・ブルックス』のキャラクター造形だ。

彼は決して立派な人間ではない...というかクズなのだが、優しいところや妙に共感してしまう思考をすることがあったり、周りに多くの友人がいたりと、絶妙に現実世界に数多くいそうな憎めない男で、長年付き合っている彼女がいることにも納得させられてしまう。

f:id:metalgearlovepotter:20211005170014j:imageヴィンセント・ブルックス。汗かいたり瞳孔開いたり青ざめたり、とにかく表情豊かで人間味に溢れた良キャラ。

このゲームはアクションパートとアドベンチャーパートに分かれており、アドベンチャーパートでは酒場の客の悩みを聞いて彼らが悪夢を生き抜けるようサポートすることになるのだが、この客たちの悩みが三者三様でまた面白い。

f:id:metalgearlovepotter:20211005170956j:imageちゃんと悩みを聞いてあげないとみんな悪夢に飲まれてポンポン死んでいく。ちなみに僕は二人しか救えませんでした。

小刻みに揺れるカメラワークと音の使い方も見事で、初見の時はずーーーーーっとビクビクさせられっぱなしだった(やっぱホラーって怖いね)。

エンディングは大きく分けて恋人エンド浮気エンド自由エンドの三つが存在し、それぞれにバッド/ノーマル/トゥルーの3パターンがあるため合計9つもエンディングが存在することになる。

私はそのうち恋人エンドと浮気エンドのトゥルーバージョンを達成したが、やはり両方達成しないとスッキリしないストーリー構成だった。

f:id:metalgearlovepotter:20211005172147j:image元々付き合ってたキャサリン。生真面目でちょっと怖い。

f:id:metalgearlovepotter:20211005172323j:image突如現れてヴィンセントと肉体関係を持った浮気相手のキャサリン。急に死ぬとか殺すとかクールに言い出してちょっと怖い。

まぁつまりどっちもちょっと怖い女性なんだけど、そんな二人の間で焦りまくって汗ダラダラなヴィンセントがとにかく面白い。浮気の事実を隠すために嘘をつくシーンなんかも多いが、どれも切羽詰まって無理くり絞り出しているものばかりで情けなさすぎるのが笑えた。

〜まとめ〜

マルチエンディング仕様なのにステージがスキップ不可だったりエンディング以外でストーリーが変化するところがほぼないことや、難易度イージーがノーマル相当の難易度なレベルデザインなどなかなかに硬派で初心者お断りな作りの本作。全体的に見てやりごたえのある非常に良作のゲームであることは間違いないし、追加要素が加わった次世代機版も発売されているので、興味がある男性諸君はぜひ手に取って遊んでみて欲しい。あ、あと18歳以下は絶対やっちゃダメです。はい。

f:id:metalgearlovepotter:20211005173540j:image部屋に落ちてた彼女の髪の毛を胸から生えてたとごまかすヴィンセント。みんなも同じ状況になったらこの言い訳を使ってみましょう。