気ままにゲームレビュー#17 〜MTBは友情を育むことができる素晴らしいスポーツなんだ!!〜
皆さんは、MTBというものをご存知でしょうか?
MTBとはマウンテンバイクの略で、悪路に強い自転車に乗ったライダーが、指定されたコースで己のテクニックを駆使しながら速さを競い合うという競技です。足をつけないように障害物を越えていくトライアルや、山に造られた急斜面のコースを高速で下るダウンヒルなど、様々な種目があります。
というわけで今回レビューしていくゲームはこちら。
TAITO発売、韋駄天翔DS 燃えろ!フレイムカイザー。
なぜか誰も知らない超面白激アツ神アニメを題材にしたこのゲームを、ついに今回取り上げていきます。みなさん是非最後までお付き合いくださいね。
韋駄天GO!!
〜ゲーム性〜
このゲームに触れる前に、まずは元となっているアニメについて触れねばなるまい。
そう、韋駄天翔についてである。
韋駄天翔とは突然異世界に飛ばされてしまったMTB大好きな主人公とその仲間たちが、元の世界に帰るために韋駄天バトルと呼ばれるMTBのレースを繰り広げる超絶面白激アツ神アニメである。
本当にガチでおもしろい。
韋駄天バトルとは異世界で繰り広げられるMTBレースのことで、ライダーたちはバイク前面に取り付けられた自身のエンブレムをかけて、定められた三つのルールに違反しなければなにをしてもいいという危険なレースを行う。
作中でもさまざまなドラマを生んだこの韋駄天バトルを、なんとこのゲームでは体験できてしまうのだ。
ゲームは通して上画面でレースの状況を確認しながら、下画面のタイヤアイコンをタッチペンで回して相手より先にゴールを目指すという構成になっている。
坂巻駆くんの親切な説明。
このゲームはスタミナ制度を採用しており、ただひたすらタイヤを回し続けているとすぐにスタミナが尽きてスピードが激しく低下。結果的にレースで勝つことは厳しくなるので、レースの最中はペダルを回す頻度にも気を遣わなければならなくなる。これが意外と感覚を掴むのが難しく、慣れるまで何度も敗戦を味わうことになったのも今となっては良い思い出だ。
このゲーム一番の特徴は、ジャンプ中に下画面に表示されるボードに特定のマークを描くことで発動できる“韋駄天アクション“だ。
より高くジャンプできる『バニーホップ』や空中で一回転する『サブロク』などその種類は豊富で、レースの状況に応じて使い分けることでよりカッコいいレース運びができる。特に序盤はマシンの性能が低いので、この韋駄天アクションをきちんと使いこなせないと勝つのは難しいだろう。
チェックマークを描くとバニーホップ。カッコよく決めよう。
前述の通りゲーム開始当初はマシンの性能がとても低く、序盤の敵にすら勝つのに苦労してしまう。
初めてプレイした時に「難易度高すぎないか?」と思ってしまったのはきっと自分だけではないはずだ。
ではどうすればマシンを強くできるのか?
そう、こういうレース系のゲームにはつきもののカスタマイズ機能である。
カスタマイズは全6箇所可能で、タイヤ以外の五箇所ではパーツのグレードを上げることで基本スピード、加速力、ブレーキ力、左右のカーブ性能がそれぞれ向上していく。
タイヤパーツだけ少し仕様が特殊で、砂漠コースならサンドタイヤ、雪道ならスノータイヤと、コースに合った適切なタイヤ選びをしないとスピードが極端に落ちてしまう。そのためレース開始前は必ずカスタマイズ画面を開くことになるが、これが少々面倒だった。また後述するがレース中の特別なイベントなどが無いため単調さが拭えない仕上がりになっており、これもかなりもったいなかったと言えるだろう。
〜ストーリー性〜
このゲームは韋駄天翔のゲームなので、当然ストーリーもアニメに準えたものになっている。
MTBが大好きな少年、山登翔。この物語の主人公だ。
まずは前述の通り異世界に飛ばされてから初のレースとなる“廃墟のボス”との対決から始まり、アニメで登場した数多くのライバル達と戦うことになる。のだが、このゲームのストーリーはいささかボリューム不足だ。
廃墟のボス。こう見えて良いヤツなんだ。
翔に初めて黒星を与えた強敵“影見のシン“は出てこないし、このゲームではただレースをするだけで特にレース中にイベントや演出が挟まるなんてこともないので、獅堂京一のサンダーエンペラーとともに繰り出した”韋駄天クロス“も見ることはできない。
ストーリー中に操作できるキャラも翔だけなので、
ネプチューンが目覚める下りでも勝負を決めるのは翔だし、忍者ライダー孤影と騎士ライダーアーサーの手に汗握る激闘もまるまるカットされてしまっている。アクアパレスの死闘も全カット(あの話めちゃくちゃ熱いし泣けるから大好きなのに)。
チームSTのボスである鮫島牙舞と彼が操る最凶の韋駄天バイクブラッディファングとの激闘まででストーリーは終わりを迎えるので、その後のチームX戦や物語の真の終わりを見ることができないのもかなり勿体無いところだろう。
せめてイルカのオーラを纏って水面を駆け抜けたネプチューンと獅堂まことの勇姿や、孤影の分身走法や空中走行に空刃鎌鼬、獅堂京一の獅堂スペシャル、アーサーとハンマーヘッドの大地を砕く走りと牙舞とブラッディファングが繰り出すブラッディインパクトくらいはレース中に3Dモデルでしっかり再現してほしかった。
というか牙舞との決着で話が終わるならそこまでの31話分全部ゲームでもやって欲しかったなってずーーーーーーーーーーーっと思ってますよ僕は(ファンは欲張りだから)。
さて、すっかり熱くなって文章にも素が出てきてしまったので、話を戻して六台の韋駄天バイクとその搭乗者について解説しておこう(まだ終わりません)。※韋駄天バイクって?ー異世界においてめちゃくちゃ凄いバイクとしてその名を轟かせている6台のMTBのこと。どれもカッコいいし強い。
山登翔(やまとしょう):物語の主人公で、搭乗するのは現実世界で父親から譲り渡されたフレイムカイザー。他の誰にも思いつかないようなコースどりを瞬時に行えたり、いきなり小5とは思えないえげつない技を出せたりするいわゆる天才系主人公だが、ちゃんと思いやるべきところで思いやれたり反省するべきところで反省できたりするので嫌味が全くない凄いやつ。天才系あるあるの例に漏れずバカ。母親は弁当屋で、父親は行方不明(超重要)。レース中、集中力と気合が頂点まで達すると身体中に赤いオーラを纏いだし、最終的に真っ赤なホウオウとなってゴールまでひとっ飛びするという凄技を持つ。
獅堂まこと(しどうまこと):翔の親友の一人で、トライアルの天才と呼ばれる獅堂京一を兄に持つ駆け出しのMTBレーサー。搭乗するのはネプチューン。小5とは思えないほどの生活力を誇っており、異世界での炊事、洗濯は大体彼女がやっている。甘いものが大好きでブラコン。めちゃくちゃ可愛くてカッコいいけど強すぎてヒロインらしい活躍は特になかった。が、レース中の胸打たれる活躍はとても多い強カワ系ヒロイン。レーサーとしての成長が主人公の次に多く描かれていたのも彼女である。ネプチューンは水場に強いMTBで、水面を滑走したり、集中力が臨界まで達すればイルカのオーラを纏ってエゲツないスピードで相手をぶっちぎったりもできる。
獅堂京一(しどうきょういち):まことの兄で、トライアルの天才。翔の前に立ちはだかった最初のライバル。搭乗するのはサンダーエンペラー。翔たちより早く異世界に飛ばされてきていたため、彼らが知らないことをたくさん説明してくれる良いお兄ちゃん。諸事情により、物語序盤ではあまりにも隠せていない変装をしていた。小6とは思えないクールさと態度のデカさを持つ。天才と言われるだけあってMTBのテクニックはとても高く、獅童スペシャルという必殺テクニックまで持っている。翔と協力して、MTB二台を中心として巨大な渦と雷のような火花を発生させる韋駄天クロスという大技を繰り出したこともある。
孤影(こえい):忍者ライダーの異名を持つ技巧派ライダー。その名の通り忍者。搭乗するのはエアロシザース。牙舞率いるチームSTの刺客として、翔たちを潰すべく立ちはだかった。初登場時からいきなり生身で大凧に乗りながらレースに乱入し、空中を走ったり分身したりとめちゃくちゃやらかしていった濃いヤツ。最初はめちゃくちゃ悪い顔をした悪いヤツだったが、のちに自分の走りに誇りを持ってたり病気の妹を養うために悪い感じ出してたりしたことが判明し、ただのキャラが濃い良いヤツになった。必殺技は烈風怒涛真空一閃・空刃鎌鼬で、空中で自身とバイクをめちゃくちゃ回転させることで巨大な竜巻を発生させる。分身や空中走行にはトリックがあったが、この空刃鎌鼬はガチの技だった。
アーサー:普段はペンキ屋の格好をしている謎の凄腕ライダー。搭乗するのはハンマーヘッド。誰よりも気高いという言葉が似合う騎士道精神に溢れた人物で、あまりにも見た目が浮いている甲冑姿がトレードマーク。スランプに陥った翔にMTBに乗る理由を思い出させたりしてくれた頼れる人で、割と話の根幹に関わっている人でもある。めちゃくちゃイケメン。パワフルな走りが特徴で、コース上に設置された普通は避けるしかないような巨大な岩を突進で砕いて進むという豪快な技を持つ。
鮫島牙舞(さめじまがぶ):アニメ前半のラスボスにして、山登翔最大のライバル。搭乗するのはブラッディファング。元の世界ではチームシャークトゥースというMTBチームのヘッドを務めており、その実力はかなりのもの。こう見えて弟属性持ちで、翔たちの同級生でもある。小5とは思えないほどの狡猾さを持ち、チームSTという巨大組織を創り上げて異世界の大部分を支配してしまった末恐ろしいワルガキ。翔との決着後は徐々に浄化現象が始まり、少年漫画のセオリーに従ってめちゃくちゃデレた。必殺技はブラッディインパクトで、技名を叫ぶと何故か大爆発が起きて爆破地点に巨大なクレーターまで発生させる荒技。彼との最終決戦ではこの技が乱発されたおかげで、画面がかなりド派手なことになっていた。
〜まとめ〜
これって自転車レースのアニメだったよね?と思わせるめちゃくちゃな演出やストーリーと、少年の心を鷲掴みにする王道かつ胸熱な展開が光る韋駄天翔。
最近この作品を調べる中で、原作となる漫画では韋駄天バイクはめちゃくちゃたくさんあること、メインキャラの一部が登場しなかったり立場が違ったりすること、そもそも原作では異世界になんか行ってないことが明らかになって益々ハマってしまっている自分がいる。
そんな韋駄天翔のゲームはメジャーハードのソフトとしてはおそらく本作だけでかなり貴重なので、原作またはアニメに是非ハマっていただいた後、このゲームをプレイして欲しいと切に願う。
以上。お付き合いいただきありがとうございました。
原作はIDATEN翔、アニメ版は韋駄天翔とタイトル表記まで違うんだぜ!みんな覚えておいてくれよな!!